水耕栽培で水だけではなく液肥を入れはじめたけど、pH(ピーエッチ、ペーハー)やEC(導電率、電気伝導度)の適正がわからないなぁ
そもそもPHとかECってなに?その辺も含めて知りたい。
こんな悩みに答えたいと思います。
●記事内容
・pHやECってなに?
・植物の好きな濃度を知る
・ph・EC計測器を使おう
・ポイント
・おすすめの計測器
●記事をモシャモシャ書いてる当人
日本溶液栽培研究会の会員
大学の頃から京都で華道に出会い、
現在植物関連の仕事についています。
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今回は、水耕栽培をはじめていくと「もっとおいしく育てたいなぁ」「もっとイキイキ!元気に育てたいなぁ」なんて思ってきませんか?
ある程度水耕栽培に慣れてくると誰でも考え出します。
肥料はもちろん、ネット上でも水耕栽培における「pH」「EC」の話は出ていますが、どちらがどちらかわからない。なんで重要なのかわからない。そんな状態のままEC計やpH計を購入し、使いこなせていない人が多いようです。
そこで、初級者~中級者向けに「pH」「EC」の話をした後、おすすめの計測器も紹介していきたいと思います。
まだ、水耕栽培を始めていない方は下記からキットで試してみてもいいかもしれません。
水耕栽培の pH について
pH(ピーエッチ、ペーハー)ってなーに?
phは酸性、アルカリ性の強さで、作物にとって育ちやすい環境を知るのに必要です。
ph数値は0~14の値で表します。
ph7が中性、7より小さいほど賛成が強く、7より大きいほどアルカリ性が強くなります。
一般的には、ph5~7の弱酸性の範囲が育成するうえで良いとされています。
phは植物の成長に大きく関係しています。
水耕栽培では、このphはぽんぽん変わりやすいんですよね←
そのため植物にとって一番良いph調整を行うことが重要です。
植物によってちょうど良い値は違うので、それぞれの植物にあった適正値で育てると良いと思います。
ph | 主な植物 | |
強酸性 | 5.0~5.5 | ブルーベリー、スズラン、ツツジ |
5.5~6.0 | ジャガイモ、サツマイモ、リンゴ | |
5.5~6.5 | 苺、キャベツ、小松菜、大根、ニンジン | |
弱酸性 | 6.0~6.5 | トマト、ピーマン、キュウリ、ナス |
西瓜、メロン、レタス、バジル | ||
6.5~7.0 | 白菜、ほうれん草、豆類 | |
中性 | 7.0 | マーガレット、マリーゴールド |
※大体の目安
ちょっとphの難しい話
水耕栽培の場合、例えば、リン酸(P)は、養液が酸性になると、鉄・マンガン・アルミニウムなどが遊離し、リン酸を固定します。
逆にアルカリ性の場合は、石灰塩として沈殿し溶けてなくなります。
現実的に、リン酸が植物に吸収されやすいのは、弱酸性のpH6ぐらい。
弱酸性の範囲が植物が栄養分も吸収しやすくなり、一般的に収穫期~後期になると、液肥の濃度が高くなってきまて、液肥のpHは下がってくる傾向にあります。
pH4.5あたりでは窒素・リン酸などが吸収しにくくなるのでpH調整が必要です。
また、活力剤の中にはpHを極度に下げる物もあるので注意が必要!
水耕栽培では容易にpHが変化しやすいため、植物の育成には、必要に応じて細かなpH調整と液肥濃度の調整が重要となってきます。
EC(導電率、電気伝導度)ってなーに?
EC(導電率、電気伝導度)は本来、電気の流れやすさを表しますが農業分野では肥料や塩分濃度の指標として見られます。
肥料や塩分の量、浸透度合いを知るのに役立ちます。
一般的には植物にとっては0.5~1.5(水耕栽培の場合は2.5)の範囲が植物の成長に適しています。
それ以上だと、肥料分が多すぎて枯れたりうまく育ちません。
人間も一緒ですがなんでもあげすぎはよくないんですよね。
ECに関しても植物によって適正値があります。
また、ph値と違って状況によっても適正値が違ったりもします。
主な植物 | 育苗期 | 定植初期 | 中期 | 収穫期 |
ナス | 1.2 | 1.2-1.5 | 1.5-1.8 | 1.8-2.4 |
トマト | 1.2 | 1.2-1.5 | 1.2-1.8 | 2.0-2.8 |
メロン | 1.2 | 1.2-1.5 | 2.0-2.4 | 1.2-1.5 |
苺 | 0.6-0.8 | 0.6-1.0 | 0.8-1.2 | 0.8-1.5 |
ミツバ | 1.2 | 1.2-3.5 | 1.5-3.5 | 2.4-3.5 |
サラダ菜 | 1.2 | 1.2-3.0 | 1.2-3.0 | 1.2-3.0 |
※■EC値の単位
EC計では、 mS/cm や μS/cm で表示。
【 1.0 mS/cm = 1,000μS/cm 】、つまり【 EC 1.2 = 1.2 mS/cm = 1,200 μS/cm 】
読み方としては、
μS/cm(マイクロジーメンス・パー・センチメートル)
mS/cm(ミリジーメンス・パー・センチメートル)
phとECの関係性
phもECも適正範囲で調整すれば植物は元気に美味しく育ちます。
水耕栽培の場合は、phが変わりやすいのでph調整が重要で、ECに関しては、成長過程で吸収量が異なるので成長に応じて調整しましょう。
ph・EC計測器の使い方・計測の仕方
計測器の使い方は至ってシンプル。
ざっくりいえば計測器の計測の方を水に浸してポチっと体温計のように押すだけ!
土壌のpH、ECの測定方法(上澄み液)では、少し複雑な下記のような手順が必要。
pHの測定方法(ガラス電極法)
風乾細土 1(例:10g)に対し蒸留水 2.5(例:25mL)の割合で加え、約30分間撹拌し混ぜる。
その後上澄み液にpH電極を浸け、軽く混ぜながら約30秒後にpH値を読み取る。
ECの測定方法
風乾細土 1(例:10g)に対し蒸留水 5(例:50mL)の割合で加え、約60分間撹拌し混ぜる。
その後上澄み液にEC電極を浸け、EC値を読み取る。
<共通の注意事項など>
※計測器は使用前に適応する標準液を用いて校正を行い信頼性を確保する。
※電極は上澄み液に浸して読み取る。土壌に挿入すると正しい測定値が得られない。
※蒸留水は精製水、純水、脱イオン水でもOK。
ここに関しては今後動画を作成して詳しく説明できればと思っています。
PH・EC調整の仕方
正直細かく伝えると終わらないのと、実際与えている液肥のEC値だけ測定して満足している人もいますが、それだけでは不十分だったりします。
液肥の量が同じであっても給液回数などによっても植物が受け取る肥料分は変わるので正しい数値はやりながら調整も必要です。
PH
酸性・アルカリ性どちらかに過度に傾くのであれば
①反対の栄養を入れる
※濃度濃くなるから注意が必要
②フィルターの活用
フィルター感覚で竹炭とか使うのも〇
③市販の溶液の容量用法を守る
今回の記事は初心者~中級者のためとりあえずは用法容量を守ればどうにかなります。
EC
濃度の話なので基本的には薄めれば大丈夫です。
水を追加しながら調整してみましょう!
おすすめの計測器
とりあえず計測してみたい方でも、さらに美味しく育てたい方に向けて計測器を紹介したいと思います。
実際計測器で調整しながらきっちり育てる場合と適当に育てる場合では、美味しさも成長もグッと変わります。
計測器はどれがいいのか?
phとECの複合型もあります。
少し値段は高いですが、セットなので手間も省けるメリットもあります。
ただ、どちらにしてもチャレンジ枠で始めるのであればどちらか購入してみるのもあり!
EC計単体
PH計単体
複合型
最後に
今までなんとなくで調整していたものが数値化されれば日々の観察もグッと本格的になります。
今回をまとめると
ph:作物にとって育ちやすい環境を知る
EC:肥料や塩分の量、浸透度合いを知る
植物には適正なphとEC値がある。
計測器を購入すると【再現性・今後の対処】メリットあり
こんな感じでしょうか。
ぶっちゃけなくても植物は育ちます。
色々試してみたい人はチャレンジしてみてください。
今回は以上です。
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水耕栽培始めました【土壌との違い・メリット・デメリットとは】