水耕栽培の話

水耕栽培で【苗を育てるコツ】

水耕栽培は土を使わない農法です。虫がつきにくく土由来の病気が発生しないので家庭菜園で高い人気があります。

多くの野菜では比較的気軽に始められる農法ですが、苗から水耕栽培を始めるには多少のコツが必要です。

苗の育成の難しさと重要性を、農家では「苗半作」という言葉で伝えてきたそうです。これは「苗のできによって作柄の半分が決まる」という意味で、農作物の育成では上手に苗を作ることが大切だということを示しています。

水耕栽培で種から苗を育てようとしたものの、もやしのような茎がひょろりと長く伸びるだけで、うまく苗にならなかった経験はないでしょうか。この状態の芽は「徒長(とちょう)」と呼ばれています。

徒長した苗をそのまま育て続けても収穫にはつながりません。芽が「徒長(とちょう)」した状態になる理由には以下のような問題が考えられます。

間引きが足りない

苗を作るためには十分なスペースが必要です。緊密で隣の種とのスペースが狭い状態で育てると徒長してしまいます。種が発芽したなら、近い芽から離して植え直すか、小さい芽を間引きすることが必要です。間引きによって育つ芽に均等に栄養が行き渡るようにしましょう。

水や酸素の循環が悪い

水耕栽培では水の状態に気をつける必要があります。

水質が悪くなった状態で育成を続けると、藻や苔あるいはカビが発生し、芽に甚大な被害を発生させるからです。水や容器にぬめりを感じたときは積極的に水を交換しましょう。

また、育ちが悪いと感じたときは肥料を増やすのではなく、まず水の循環環境をチェックすることが大切です。水の循環が悪くなると水中酸素量が低下して根腐れを引き起こしかねません。循環が悪いと感じたときはエアポンプ(自動給水装置)を使うことで育成環境が改善されます。

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室内育成では日照不足

種から芽はでたもののあまり育たない場合は、日照不足が原因となっているケースが多いです。

水耕栽培は、その言葉のイメージから室内だけで育てられると勘違いされやすい方法です。しかし、実際は適切な量の光が必要なので、日射しの良い時間帯に外に出して陽の光にあてるようにしましょう。

育成容器を外に出すのが難しい場合にはライトを用意して、日照が不足しないように注意してください。なお、日照不足で徒長した芽に急に強い光を当て続けると葉焼けし枯れる原因となります。徒長した芽を育てるときは、徐々に光に慣らしていくように気をつけましょう。

 

水耕栽培での苗の定植で気をつけたいポイント

種から発芽した後は成長に合わせて定植しなければなりません。定植することで苗を安定させて強く育てられます。水耕栽培での定植では、以下のようなポイントに注意しましょう。

給水布の選び方

芽が出て間もない苗では、根が十分に育ちきっておらず水の吸い上げ能力が不十分な場合があります。そんな苗は、根本に給水布を巻き付けて定植するとよいでしょう。ただし、あまり丈夫過ぎる繊維の給水布だと、将来的に苗の成長を邪魔する可能性があります。逆に弱すぎる給水布では時間とともに劣化して水質環境を悪くしかねません。給水布の選び方で迷ったときは、まず薄い不織布から試してみるとよいでしょう。

容器のサイズ

苗のサイズに目を奪われがちですが、定植する場合には収穫サイズを考えた容器を選ぶ必要があります。例えば、ほうれん草のような葉物野菜は、十分な深さのある容器で水耕栽培を始めないと、成長とともに倒れてしまいます。また、深すぎると日照不足や空気の循環不足を起こしかねません。サイズがあっていないと感じたときは、さらに違う容器に定植しなおすとよいでしょう。

根の張り方に注意

多くの水耕栽培ではスポンジで種を発芽させます。定植させる際にはその芽をスポンジから引き上げる必要があります。この際に芽を丁寧に扱わなければ、育った根を引きちぎってしまいかねません。引き抜くのが無理な場合には、スポンジごと定植しなおすのも良い方法です。

 

苗ができれば収穫はもはや目前

「苗半作」と言われる通り、水耕栽培においても苗作りはとても大切な課程です。

水の状態や日照環境、育成する容器のサイズなどに気をつけて、丁寧に苗を育てましょう。しかし、露地栽培とは違い、水耕栽培では苗ができてしまえば収穫までのハードルはあまり高くありません。ぜひとも水耕栽培での苗の育て方をマスターして、実り多い収穫を手に入れましょう。

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